1)「その人らしさ」を引き出すために
北米、アジア等で、厳しい自然環境を100年以上も耐え抜いてきた本物のアンティークウッド(オールドパイン)やアンティークレンガ。それらは現代のデジタル管理され均一に大量生産された資材では味わえない奥深さ、風合いを持つ希少性の高い建築材料です。それは、1つ1つ丁寧に職人の手で作られ、そして100年もの間、誰かに大切に扱われてきたからこその味わいなんです。
慶屋写真工房では、そんな本物のアンティーク材料に合わせ、現在の職人さんが作った手漉き、手染めの高級和紙、釉薬を塗って焼いた艶のある陶器タイル等を用い、撮影背景としても使えるよう室内インテリアをこだわって演出、デザインしています。
そのこだわる理由は、工業製品で作られた「○○」風や「○○調」の「張り子・フェイクの背景」で撮影した写真では、本来の「その人らしさ」「心の輝き」を損なってしまうように思えてならない からなんです。
例えば、写真館で白系・黒系ホリゾントがよく使われる理由は、背景をシンプルにすることで「その人らしさ」をより引き出す事が出来るからなんです。だからこそ、複雑な背景を使う場合は、光・構図を整えながら、質感、存在感のある素材を使わないと、人物の持つ存在感に負けてしまうと考えています。
2)楽しみ方の違い~コンセプトを具体化するために楽しみ方を分けて考える~
スマートフォンとSNSの普及から始まった新しい写真の楽しみ方は、画像情報データを多くの仲間と一瞬で共有し話題にして「今を楽しむ」事だと思います。その新しい楽しみ方とは違う、「写真館で写真を残す」事の楽しみ方を考えた時、それは何気ない日々の「幸せ」を印画紙というタイムカプセルに閉じて、将来そのカプセルを開いた時、人生の意味や奥深さを身近な人と感じ合う事なんだと思います。それはまるでワインやウイスキーが、時と共に熟成されビンテージ酒に変わるように、その印画紙に写った「幸せの瞬間」は時間の経過の中熟成され、、他に代わりのきかない唯一無二の宝物となっていくのです。どちらが正解などではなく、スマートフォン普及以来大きく分けると、「写真」には違った2つの楽しみ方があると思います。
3)長い年月時間の中では、「物質」だけでなく「価値観」も朽ちていく
一見すると、ぱっと見良く見える「フェイク」の背景や、昨今はやりの「敢えて素人感」のDIY背景でも、感じのいいオシャレな写真にはなると思います。でもそれは、スマホで「今」を楽しむ写真なのではないでしょうか。
長い年月時間の中では、家具やお酒でも残っていくのはごく一部。それだけ時間の流れは過酷なんだと思います。そしてそれは「価値観」も同様です。だからこそ、長い時間経過の中で物事を考えた時、時代の流行に翻弄されて途中見飽きてしまわれないような写真作りが必要なんです。
そのために今だけ楽しい「○○風」「○○調」の張り子やフェイクの背景ではなく、人が1つ1つ丁寧に丹精込めて作った材料を使い、腕の良い職人さんに施工しもらった室内インテリアで撮影 しています。