~1つの楽しみ方から2つの楽しみ方へ~

そもそも「写真」が発明されて以来、「写真」の待つ最大の価値は「残すこと」でした。プロアマ問わず、雑誌やチラシ等のコマーシャルの分野にまで「今を残す」「時代を残す」といった価値観がありました。それはデジタル化以降も変わらない普遍的な価値だったのですが、スマートフォンとSNSの普及により急速にその価値観を変えていきました、それは「写真」の価値が「残すこと」から「共有(シェア)する」に変わっていったのです、いや「変わったと思われてしまった」というところでしょうか。実際は、情報革命により新しい価値が加わり、1つだった「楽しみ方」が2つの「楽しみ方」に分岐したのだと考えています。

 

スマートフォンとSNSの普及から始まった新しいもう一つの「写真の楽しみ方」は、「画像データ」を多くの仲間と瞬時に共有し話題にして「今」を楽しむことです。それは「旬なもの」「流行」を追いかけることになります。一方、元来の「写真の楽しみ方」は、何気ない日々の「幸せ」を印画紙というタイムカプセルに閉じて、数十年後にそのカプセルを開いた時、人生の意味や奥深さを感じ合う事なんだと思います。それはまるでワインやウイスキーが、時と共に熟成されビンテージ酒に変わるように、他に代わりのきかない唯一無二の宝物となっていくのです。スマートフォン普及以来大きく分けると、「写真」には違った2つの「楽しみ方」があると考えています。

~使い方を分けて考える~

「いや、スマホで撮影した写真も残せるよ」っと思われるかもしれません。小型化、大容量化する記録メディア、発展するクラウド。物質でない画像データは壊れたら全てを消失してしまう事もあって、以前はどんなに保険をかけててもデータは残せないと思われていたのですが、現状では逆に、デジタル環境の整備・進化に伴い、データの方が安全だという考えも出てきていますし、もちろんそれを否定するつもりもありません。ただ、常に変わる続ける「流行」を追いかけた膨大な情報データの整理、選択、管理をするのは、あくまでそれを保有する一個人であり、端末紛失等のいくつものハードルを超えて、果たして本当に50年、100年と残せるのか、と思わざるをえません。そういった事からも「残す楽しみ方」と、「共有する楽しみ方」として、2つの「楽しみ方」を分けて考えた方が良いのではないかと思います。

今を「楽しむ写真」と記念写真として「残す写真」の違い

最近、SNS等の流行で自己主張の強い派手な表現の記念写真を見かけます。今を「楽しむ写真」だったらそれも楽しいと思いますが、記念写真として「残す写真」の場合、将来NG写真となってしまうのではないでしょうか。そこで、当店独自の考えとして、NG写真になってしまう3つの理由をお話しします。

NG写真になってしまう理由①:技術

技術が稚拙だと、白飛び黒潰れが多く写真表現で一番大事な立体感質、奥行を損なってしまいます。
安易なコントラストの高い表現は、簡単に写真を良く見せやすい反面、誰もが同じような顔になりやすく「その人らしさ」を損ないます。光コントロールと作画技術によって立体感、奥行が表現された写真は、まるで人物が浮き上がってくるように見え、その人の美しさを引出します。広告やアートの世界で商品やモデルを際立たせるためのハイコントラスト表現はありますが、安易な理由でのコントラストの高い表現は、記念写真には不向きだと考えています。

NG写真になってしまう理由②:色

色温度の知識がないと、肌色、和・洋服の色などが再現されません。
例えば赤ちゃんの肌色はそのままがやはり美しいのですが、ストロボや自然光の色温度の違いで、黄色がかったり青色が強くなったりし、そのままを再現するにはきちんとした技術が必要なんです。表現の1つとして「セピア調」は分かりますが、ただ色温度の知識やその技術がなく、黄色がかったり、それを誤魔化すために色を薄めたりする表現は肌色の美しさやせっかくの和・洋服の美しさを台無しにしてしまうと考えています。

NG写真になってしまう理由③:洋服・着物

記念写真を撮影する際は、洋服や着物の乱れを整えることも重要です。
特に着物の場合、1枚の布を纏う様に着るため体の凹凸を補正しながら着付けて行きます。そのため、和の振り付の知識が無いまま写真を撮ると、太って写ってしまう事が多いようです。

~50年、100年先の未来へ残すために~

そして、写真館で「写真」を撮る一番の目的は、プロの感性で撮影し印画紙に焼いた写真を、50年100年先の未来に残す事なんだと思います。そのために当店では、紫外線、水分にも強く劣化しづらい材料を使っています。また、過酷な長い年月、時間の中では、「物質」だけでなく「価値観」も同様に朽ちていきます。だからこそ「写真館で写真を撮る意味」とは、「はやり」に流されない普遍的価値観「何気ない日常の幸せ」を形にし、それを未来に残す事だと考えています。
慶屋写真工房は時を重ねる程に価値を増す記念写真を撮影し、「写真は未来への宝物」のテーマの基、「心を写す写心館でありたい」と考えています。

慶屋写真工房からのお知らせ

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営業時間:9:00~19:00
福岡県北九州市小倉南区田原新町3-6-106

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