そもそも「記念写真」って何?
最近の「記念写真」の流行りが、まるで何かコスプレをやってるかのように思われて仕方なく、時代の流れとはいえ、本当にそれが「記念写真」の姿なのだろうかと考えてしまいます。
そもそも「記念写真」とは何かを考えるにあたり、以前、とあるお客さまからこんなお話を伺った事があるんです。「出来上がった写真を受け取った時は、『キレイに撮れてて良かったなぁ』って思っただけ
だったんです。でも、それを2年くらい後に見返した時のそこに写るまだ幼い我が子の姿に、いつも見慣れていた子供の、いつのまにかの成長に、つい涙がポロポロっと出ちゃって(笑)怒ったり笑ったりと、何気ない日々の積み重ねだったんだけど、急に幸せを感じたんですよね」と。故に、当店が考える「記念写真」とは、【日常に感じる『幸せ』を未来へと運ぶタイムカプセル】なんです。時間をかけて熟成するかのように、「記念写真」は時間の経過とともに輝きを増します。だからこそ当店では、ハロウィンや夢の国のような非日常的コスプレ風撮影を良しとせず、何気ない日々の中にある『幸せ』を記念写真という『形』にし、未来に送りたいと考えています。だからこそ、5年、10年経っても「本当に写真を残しておいて良かった」と思っていただけるためのこだわりが『瞬・感・美』なんです。
当店のこだわり、「瞬・感・美」とは
写真を構成する要素を3つに分けると「瞬・感・美」となります。「瞬」は一瞬の記録性、「感」は心を揺るがす感性、「美」は造形美です。この3つのクオリティとバランスが写真の技術の良し悪しとなり、カメラマンそれぞれの感性や考え方によって、このバランスの取り方が変わるため、同じカメラを使って同時に撮影を行っても「誰が撮っても同じ写真」にはならないのです。故に当店では、「何十年経っても、さらに輝きを増すように」という考え方を基準に、「瞬・感・美」にこだわった皆様の心に響く写真作りに取り組んでいます。
当店の考える「瞬・感・美」とは
写真を構成する要素を3つに分けると「瞬・感・美」となります。
「瞬」とは
動画撮影では長尺の「線」を編集したものを「時間」として捉えるのに対し、写真撮影の場合カメラマンは、「一瞬の点」が連続、集合したものを「時間」だと捉えます。だからこそ優れたカメラマンは、連写した中から偶然撮れたものを写真としているのではなく、その連続した無数の「一瞬の点」の中から、自分の「感性」にあった「点」を瞬間的に、そして必然的に選択しているのです。それを当店では「瞬」と考えています。
例えば、カメラマン同士の研修の場などに於いて、皆で持ち寄った写真を見ながら「ここの点ではなく、もう一つ先の点が良かった」等の議論を積み重ね研鑽する事もあるのです。
「感」とは
先記での「瞬」を選択するためのカメラマンの感性です。人物写真では、只単に笑ってる写真が良いというわけでなく、いかに「情感」を写し込めるのかが大事なんです。
当店では、つい手を差し伸べてしまいたくなるような幼子の泣き顔や、のけぞって大爆笑している姿、ワクワク、キラキラと瞳を輝かせてる子供たち、すやすや寝息が聞こえてきそうな寝顔、顔は向こうに向けたままの子供らしいプリプリなおしり、生まれたばかりの赤ちゃんとご両親がただ重ね合わせただけの手と手などなど、そんな瞬間をカメラマンが自分のキュンと感じる「感性」で選択し撮影しています。
「美」とは
1)そもそも何故、人は美しいものにひかれるのか
例えばハリウッドやジブリ映画等では、重層的な立体感のある映像表現や質感、奥行き感のある映像表現がよく使われています。それは、人がまだ進化する前、光と闇しかなかった時代に、捕食する者される者にとって、物の大きさや相手との距離感を正確に測れる事が、命を守る事に繋がるため非常に重要となり、未だその映像を本能的に欲し、美しいと感じているのではないかと考えています。朝日に照らされた草木の露、夕日が沈む海、打ち上げ花火や空から見下ろす夜景等に美しさを感じ、また逆に光がまったくない闇夜や一歩先さえ見えない真っ白な濃霧にこの上ない恐怖を感じるのもそんな本能に起因しているのではないでしょうか。
あくまで個人的な見解ではありますが、「美」とは生命に「安らぎ」「癒し」を与えるものだと考えています。だからこそ、人は、本能的に立体感、奥行き感のあるものを美しいと感じ、その美しさに心惹かれるのだと考えています。
2)美しさを描くための光と影
先述の通り、光と影が織りなすグラデーションによって立体的に見え、輝く質感のある物を人は「美しい」と感じます。ポートレート写真の場合、セオリーで言うと画面の中で一番輝かせて見せたい人物、及び人物群に対してハイエストライト・ハイライト・ハーフトーン・シャドウ・ディープシャドウという、光から影へ繋がる5つのトーンで人物を浮き立たせ表現します。この5つのトーンのバランスが良い程、画面上で人物が光り輝いて見えるのです。※あくまでこれはセオリーの考え方で、場合によっては逆に5つのトーンを2つ3つ減らし、バランスを敢えて崩す事で見せる美しさの表現方法等もあります。
そして、この光と影のトーンを見切る事こそ、カメラマンにとって一番重要な要素なんです。野外ロケでは、例えば自分の手を光に翳し、5つのトーンが綺麗いにバランスを取っているポイントを探し撮影したり、スタジオではストロボ機材やバウンスボード(反射板)を駆使し、その人その人のお顔立ちに合わせながら、5つのトーンを作り出し撮影したりしています。とあるお客様がこうご質問くださった、「慶屋さんの写真、うちの子のぷにゅぷにゅほっぺが今にも手でとってさわれそで。見てるだけで本当愛おしく感じるんですよね。どうしてそんな風に見えるのですか?」との問いに対する理由が、この5つのトーンのバランスが作る立体感なんです。この技術があるからこそ、その瞬間の輝きを永遠に残す事が出来るのです。その技術の事を「ライティング」と呼んでいます。
3)構図について
「構図」とは、何を主張し、引き出し、何を伝えたいかを形にするための、画面上での、人(物)の配置を考える事です。よくあるいくつかの構図パターンを選択して書き出してみると日の丸構図、トンネル構図、二分・三分・四分割構図、放射線構図、三角構図、
S字・C字ライン構図、交点構図、黄金分割点構図などがあります。この中の構図パターンを単体で、もしくは複数を組み合わせて考えます。一番有名な黄金分割点構図を解説すると、画面の対角線上から直角に線を引いた交点に見せたいものを置くと、それが引き立つようになります。
いろいろな構図を使い分ける事で、人(物)その時その時の、躍動感や静寂感を
引き出す事が出来るのです。
4)デジタルレタッチ(画像修正)について
写真がアナログからデジタルに移行して以来、大きく変わった事の1つがデジタルレタッチ(画像修正)が誰でも簡単にパソコンのソフトやアプリで操作出来るようになった事です。ただ、簡単に操作出来るから誰でも出来るようになった訳ではなく、加減がわからずやり過ぎてしまい、人物の造形やその人らしさ、肌の皮膚感を損なってしまう事も多いように思います。当店では先記のライティングで作った立体的な光の層を、さらに輝きのあるものにするため当店独自の考え方に基づいてPhotoshop上でレイヤーを重層的にし、そこから深みと艶感を出すために、重ねたレイヤーから研ぎ出していくような感覚で、画像を磨き上げていきます。そうした手順を加えながら、その人らしさを損なわないように配慮し、その方が本来持っている輝きを引き出すように考え、デジタルレタッチを行っています。1コマの処理にあたり、平均で約15分、画像によっては1時間程の手間をかけて、画像データを「写真」に仕上げていきます。